ウェブサイトを運営する上で、プライバシーポリシーの設置はもはや選択肢ではなく、必須要件となっています。個人が運営サイトであったとしても、お問い合わせを受け付ける場合には個人情報を入手することになりますので、必ず作成すべきです。ただ、「プライバシーポリシー」と聞くと、難解な法律用語が並んだ堅苦しい文書を想像し、作成を億劫に感じる方も多いですよね。
そこで本講座では、ひな形を活用して効率的かつ適切にプライバシーポリシーを作成する方法を、ウェブサイト運営者の方々に向けて詳しく解説します。

なぜプライバシーポリシーが必要なのか?

プライバシーポリシーは、ウェブサイトの訪問者(ユーザー)からどのような個人情報を取得し、どのように利用し、どのように管理するのかを明文化したものです。これにより、ユーザーは自分の情報がどのように扱われるのかを理解し、安心してサービスを利用できるようになります。
プライバシーポリシーが必要な主な理由:
- ユーザーからの信頼獲得: 透明性の高い情報開示は、ユーザーからの信頼を得る上で不可欠です。
- 法的義務の遵守: 個人情報保護法をはじめとする各種法令を遵守するためには、適切なプライバシーポリシーの設置が求められます。
- トラブルの防止: 個人情報の取り扱いに関する誤解やトラブルを未然に防ぎます。
- 広告プラットフォームの要件: Google AdSenseなどの広告配信サービスを利用する場合、プライバシーポリシーの設置が必須条件となっています。
- SEO対策: 直接的なSEO効果は薄いとされますが、ユーザーからの信頼獲得はサイト全体の評価向上に繋がり、間接的な効果が期待できます。
個人情報保護法とプライバシーポリシー
日本における個人情報の取り扱いについては、「個人情報の保護に関する法律」(通称:個人情報保護法)がその根幹をなしています。この法律は、個人情報の適正な取り扱いを義務付け、個人の権利利益の保護を目的としています。
個人情報保護法において、ウェブサイト運営者が特に留意すべき点は以下の通りです。
- 利用目的の特定と通知・公表: 個人情報を取得する際には、その利用目的をできる限り具体的に特定し、あらかじめ公表するか、取得後速やかに本人に通知または公表する必要があります。プライバシーポリシーは、この「公表」の役割を果たす重要な手段です。
- 適正な取得: 偽りその他不正の手段によって個人情報を取得してはなりません。
- 安全管理措置: 取得した個人情報の漏洩、滅失または毀損の防止その他の個人情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければなりません。
- 第三者提供の制限: 原則として、本人の同意を得ずに個人データを第三者に提供することはできません。ただし、法令に基づく場合など、例外規定も存在します。
プライバシーポリシーは、これらの個人情報保護法の要求事項をユーザーに分かりやすく示すための文書として機能します。
プライバシーポリシーのひな形と作成方法
当サイトでは、弁護士が公開しているプライバシーポリシーのひな形を利用し作成しています。一般的なウェブサイト運営用のひな形を探されている方は、コピーしてお使いいただいて構いません。

ワードプレス管理画面にログインし、左メニュー「固定ページ」→「プライバシーポリシー」をクリックします。
※最初からプライバシーポリシーページは作成されていますが、削除してしまっている場合は「固定ページを追加」から作成しましょう。

初期状態から本文が入力されている状態ですが、今回はひな形を使用するため削除してください。
※もちろん、最初から入力されている文章を修正して作成しても構いません

下記「コピペ用プライバシーポリシーひな形」をコピーし、本文内に貼り付けてください。
サイト名●●(以下,「当サイト」といいます。)は,本ウェブサイト上で提供するサービス(以下,「本サービス」といいます。)における,利用者の個人情報の取扱いについて,以下のとおりプライバシーポリシー(以下,「本ポリシー」といいます。)を定めます。
第1条(個人情報)
「個人情報」とは,個人情報保護法にいう「個人情報」を指すものとし,生存する個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日,住所,電話番号,連絡先その他の記述等により特定の個人を識別できる情報及び容貌,指紋,声紋にかかるデータ,及び健康保険証の保険者番号などの当該情報単体から特定の個人を識別できる情報(個人識別情報)を指します。
第2条(個人情報の収集方法)
当サイトは,利用者がお問い合わせする際に氏名,電話番号,メールアドレスなどの個人情報をお尋ねすることがあります。また,利用者と提携先などとの間でなされた利用者の個人情報を含む取引記録や決済に関する情報を,当サイトの提携先(情報提供元,広告主,広告配信先などを含みます。以下,「提携先」といいます。)などから収集することがあります。
第3条(個人情報を収集・利用する目的)
当サイトが個人情報を収集・利用する目的は,以下のとおりです。
- 当サイトサービスの提供・運営のため
- 利用者からのお問い合わせに回答するため(本人確認を行うことを含む)
- 利用者が利用中のサービスの新機能,更新情報,キャンペーン等及び当サイトが提供する他のサービスの案内のメールを送付するため
- メンテナンス,重要なお知らせなど必要に応じたご連絡のため
- 利用規約に違反した利用者や,不正・不当な目的でサービスを利用しようとする利用者の特定をし,ご利用をお断りするため
- 上記の利用目的に付随する目的
第4条(利用目的の変更)
- 当サイトは,利用目的が変更前と関連性を有すると合理的に認められる場合に限り,個人情報の利用目的を変更するものとします。
- 利用目的の変更を行った場合には,変更後の目的について,当サイト所定の方法により,利用者に通知し,または本ウェブサイト上に公表するものとします。
第5条(個人情報の第三者提供)
- 当サイトは,次に掲げる場合を除いて,あらかじめ利用者の同意を得ることなく,第三者に個人情報を提供することはありません。ただし,個人情報保護法その他の法令で認められる場合を除きます。
- 人の生命,身体または財産の保護のために必要がある場合であって,本人の同意を得ることが困難であるとき
- 公衆衛生の向上または児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって,本人の同意を得ることが困難であるとき
- 国の機関もしくは地方公共団体またはその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって,本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき
- 予め次の事項を告知あるいは公表し,かつ当サイトが個人情報保護委員会に届出をしたとき
- 利用目的に第三者への提供を含むこと
- 第三者に提供されるデータの項目
- 第三者への提供の手段または方法
- 本人の求めに応じて個人情報の第三者への提供を停止すること
- 本人の求めを受け付ける方法
- 前項の定めにかかわらず,次に掲げる場合には,当該情報の提供先は第三者に該当しないものとします。
- 当サイトが利用目的の達成に必要な範囲内において個人情報の取扱いの全部または一部を委託する場合
- 合併その他の事由による事業の承継に伴って個人情報が提供される場合
- 個人情報を特定の者との間で共同して利用する場合であって,その旨並びに共同して利用される個人情報の項目,共同して利用する者の範囲,利用する者の利用目的および当該個人情報の管理について責任を有する者の氏名または名称について,あらかじめ本人に通知し,または本人が容易に知り得る状態に置いた場合
第6条(個人情報の開示)
- 当サイトは,本人から個人情報の開示を求められたときは,本人に対し,遅滞なくこれを開示します。ただし,開示することにより次のいずれかに該当する場合は,その全部または一部を開示しないこともあり,開示しない決定をした場合には,その旨を遅滞なく通知します。なお,個人情報の開示に際しては,1件あたり1,000円の手数料を申し受けます。
- 本人または第三者の生命,身体,財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
- 当サイトの業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
- その他法令に違反することとなる場合
- 前項の定めにかかわらず,履歴情報および特性情報などの個人情報以外の情報については,原則として開示いたしません。
第7条(個人情報の訂正および削除)
- 利用者は,当サイトの保有する自己の個人情報が誤った情報である場合には,当サイトが定める手続きにより,当サイトに対して個人情報の訂正,追加または削除(以下,「訂正等」といいます。)を請求することができます。
- 当サイトは,利用者から前項の請求を受けてその請求に応じる必要があると判断した場合には,遅滞なく,当該個人情報の訂正等を行うものとします。
- 当サイトは,前項の規定に基づき訂正等を行った場合,または訂正等を行わない旨の決定をしたときは遅滞なく,これを利用者に通知します。
第8条(個人情報の利用停止等)
- 当サイトは,本人から,個人情報が,利用目的の範囲を超えて取り扱われているという理由,または不正の手段により取得されたものであるという理由により,その利用の停止または消去(以下,「利用停止等」といいます。)を求められた場合には,遅滞なく必要な調査を行います。
- 前項の調査結果に基づき,その請求に応じる必要があると判断した場合には,遅滞なく,当該個人情報の利用停止等を行います。
- 当サイトは,前項の規定に基づき利用停止等を行った場合,または利用停止等を行わない旨の決定をしたときは,遅滞なく,これを利用者に通知します。
- 前2項にかかわらず,利用停止等に多額の費用を有する場合その他利用停止等を行うことが困難な場合であって,利用者の権利利益を保護するために必要なこれに代わるべき措置をとれる場合は,この代替策を講じるものとします。
第9条(プライバシーポリシーの変更)
- 本ポリシーの内容は,法令その他本ポリシーに別段の定めのある事項を除いて,利用者に通知することなく,変更することができるものとします。
- 当サイトが別途定める場合を除いて,変更後のプライバシーポリシーは,本ウェブサイトに掲載したときから効力を生じるものとします。
第10条(お問い合わせ窓口)
本ポリシーに関するお問い合わせは,下記の窓口よりお願いいたします。

必ず文頭の「サイト名●●」は自身が運営するサイト名に変更してください。また、「個人情報の収集方法」と「個人情報を収集・利用する目的」についても必要に応じて修正してください。
※本サイト同様に、お問い合わせでしか個人情報を入手しない場合はそのままでOKです

テキストリンクでも構いませんが、ボタンで設置する場合は「+」→検索窓に「ボタン」→「SWELLボタン」を選択し、下記のようにテキストとURLを設定します。

お問い合わせページはまだ作成していない方は、こちらもあわせてご覧ください。(当サイトのロードマップでは次の講座になっています)


保存ボタンが並んでいるアイコンの一番左のアイコン「右斜め矢印マーク」をクリックすると、作成したページの確認ができます。
その他の記載事項(利用状況に応じて)
サイトをリリースした当初はアフィリエイトやアドセンスなどの広告を貼っていないと思いますので不要ですが、アクセスが増えて広告を導入した際には「広告ポリシーページ」についても作成しておくことをおすすめします。
広告ポリシーページ
外部のアフィリエイトサービス会社について情報取得ポリシーを記載、また広告商品に関するリスク回避のために責任の所在について掲載しましょう。
これから作成されるかたは、当サイトの広告ポリシーをご参考ください。
プライバシーポリシーに関するよくある質問 (FAQ)

プライバシーポリシー まとめ
本講座では、ウェブサイト運営におけるプライバシーポリシーの重要性から、記載すべき項目、ひな形を活用した効率的な作成方法について詳しく解説しました。
プライバシーポリシーは、単なる法的要件を満たすための文書ではありません。それは、ウェブサイトとユーザーの間に信頼関係を築き、安心してサービスを利用してもらうための「約束の証」です。適切なプライバシーポリシーを設置し、個人情報の取り扱いについて透明性を確保することで、ユーザーエンゲージメントの向上、広告収益の安定化、そして法的なリスクの回避に繋がります。
ひな形を上手に活用しつつ、ご自身のウェブサイトの特性に合わせて内容を丁寧にカスタマイズすることが、成功への鍵となります。本講座が、皆さんのウェブサイト運営の一助となれば幸いです。